病気を当てたお話

高崎中央銀座のおじさん。その2

ここでちょっと、しんみりと、淋しいエピソードを一つ。
当時から私は様々な年代の人と交流があり、その中で、当時50歳ぐらいの近所のおじさん(仮にAさんとします)と、なぜだかよくわからないが、茶のみ友達になったことがありました。 そのAさんは、両親を早くから亡くされて、みよりがなく自分も独身。

やはり、年の功といいますか、話しも面白いし、パメラの話しも良く聞いてくれるので、時々遊びにいって時間をつぶしていたような気がします。

ある時、Aさんは、自宅で倒れてしました。
以前から体調が悪く、病院で診察をうけたところすでに末期の大腸ガンに侵されていたそうです。
大手術をしたという知らせを聞いて、私は一人で病院にお見舞いにいってみました。

窓のないような病室で点滴をうけながらうつろな視線を落としているAさんは、本当にしょんぼりと悲しそうでした。
その時に、ふっと、Aさんとの話しの中で、例の「中銀の占いおじさん」の話しがでたのです。

「そういえば。あの中銀のおじさんには、二十歳の時に、一度だけ見てもらったことがあるよ。お酒を飲んでいたのでよく覚えていないんだけど・・」
「あんとき、占いオジさんは"あんたは必ず腸を悪くする、必ず悪くするからと何度も教えてくれた。そうそう、紙に大きく「腸」と書いて赤丸をつけてくれたような気がするね。だから、40歳になったら、定期的に検診を受けなくてはいけない"って言っていた。」

と、言うではありませんか。

「あの時俺は頭に来て睨みつけてやったんだ。酔っぱらっていたからね。今から思えばそのおじさんの言ったことは当たっていたんだな・・」


と、その場で、Aさんとしんみりしていました。
その後、このAさんは、闘病の甲斐もなく大腸ガンで50歳の若さで永眠してしまったのですが・・大腸ガンは現在では治る病気なのですが、発見が遅れてしまったので手遅れとなってしまったのです。

わたしは今でも、もしこのAさんが中銀の占い師の言うことを覚えていて、腸に気をつけて定期検診を受けていたら、もしかしたら違う結果だったのではないかな、なんて密かに思っています。

中銀のおじさんは、30年後のA氏の状況を見とおしていたとも言えましょう。
気学でこの気学の域を超えたような占いは熟練のたまものですね!

占いはこんな風に転ばぬ先の杖としてその力を発揮することができるのだ、と思いました。

この中銀のおじさんも、数年前に亡くなってしまい銀座の灯篭も消えてしまいましたが、わたしは今でも中央銀座を歩くとオジさんのことを懐かしく思いだすのです。

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