ライダーウエイト版・トート版・マルセイユ版
人気のある定番中の定番というカードをUPしますね。タロットの種類の代表的なカードを書いてみたいと思います。 一つ目は、「ライダーウエイト版」
今では、色々なタロットカードが出回っていますが、だいたいがこのウエイト版のカードがモチーフ。
アメリカでオカルトブームがおこった時に(1850~1900年代前半) ウエイト版の図案に対して、イラストレーターや愛好家が、独自の装飾を加えて発表しています。
多様で個性的なライダーウエイト版が多く発売されました。
ウエイト版 タロットは、黄金の夜明け団(魔術結社)に所属していた、A・E・ウェイトがデザインし、パメラ・スミスが描いたタロットです。
1910年 ウエイトが、画家のパメラスミスに指示したカードデザインは黄金の夜明け団の秘儀を盛り込み、今までになかった斬新なデザインでした。
大アルカナはタロットの原型といわれている「マルセイユ版」を参考とし、逆位置解釈を加えました。
今まで、数札であった小アルカナに人物像を割り当てたのです。
それによって、生き生きとした躍動感がカードに加わりました。
出来上がったウエイトカードは後世に残る傑作だった訳ですが、依頼者のウエイトはその作風に苦い顔をしました。
さっそく三年後には、新しいカードを違う画家に作らせて発売しています。
パメラスミスの、素朴なデザインが気にいらなかったのですね。
パメラスミスは売れない画家で、商売が上手ではありませんでした。
生涯独身で、貧乏な生活を送ってようです。彼女が描いたウエイト版が評価されて普及したのは少し後になってから。
「わたしは、本当に少ない金額で偉大な仕事をしました!」
と、近い人達に語っていたそうです。
彼女に敬意を払い、ライダーウエイト版を「ウエイト・スミス版」と伝える人もいます。
タロットカードは、15世紀後半に貴族の間でゲームとして流行っていました。
スフォルツァ公が、画家に描かせたタロットが残っているそうです。
伝記をたどっていくと、それ以前にもタロットが存在したらしいのですが、さまざまな研究家が色々な説を出していて、はっきりした事はわかっていません。
現存する最古のタロットといえば、ヴィスコンティ・スフォルツァ版のタロットです。
16世紀から、18世紀頃のヨーロッパで、簡単に木版されていたタロットに 「マルセイユ版」 があります。
このタロット。実は、作者は不明。
フランスのマルセイユ地方から生産されて、次第にヨーロッパ全土に広がっていきました。
長い間親しまれている、日本で言えば花札のような伝統的なカードで、現代では、さまざまなデザインのバリエーションが出ています。
木版タッチで描かれていて、数札がトランプのようにシンプルなのが特徴です。
8番のカードVIII 正義 、11番のカード、XI 力 という順序になっていて、ウエイト版、トート版など近代魔術結社のカードはそれが逆となっています。
最近では、マルセイユ版のタロットメーカーの最後の後裔らしい、フィリップ・カモワン氏が、幼い頃から見聞きしたという伝統的なマルセイユカードを復刻して話題となっているようです。
クロウリーの最高傑作 トートカード
アーサーウエイトと同じく、黄金の夜明け団に在籍していた魔術師、アレイスター・クロウリーがデザインし、 女流画家フリーダ・ハリスが描いたタロットが「トートカード」です。
1944年に、クロウリーが「トートの書」を発売。
その挿絵として「トートカード」の絵が書かれてあり、実際に、「トートカード」が発売されたのは、クロウリーの死後20年近くたってからです。
このクロウリー氏は、魔術師でしたけど、変わった人としても有名でした。
自らを悪魔の化身、獣の666と名乗り、麻薬を通常の人の10倍常用していたり、愛人を沢山作って性魔術を行ったりします。
莫大な資産をもって、生涯を魔術の実践にささげました。
彼は、ウエイトカードを「陳腐なカード」と一笑し、批判しました。
黄金の夜明け団の教義を元に、自らの魔術理論を全て盛り込み、ハリス夫人と共に構成製作、7年という力の入れようでした。
ハリス夫人は彼の魔術結社の会員で、比較的裕福な女性だったようです。
二人の関係はとても良好で、クロウリーは、ハリス夫人が描いたカードに感激し、タロットの一枚一枚に世界が含まれていることに気づかされた、と、感想を述べています。
画家の感性がカードに与える影響は大きいようですね。
「トートの書」にはカードの解釈が詳しく書いてあり、迫力のあるイラストは多くの愛好者を産みだしました。
美しくダイナミックなデザインで、観賞用に持っている人も多いそうです。
トートカードを実際に使いこなすには 神話、占星術、カバラ、錬金術、易の知識が必須なのと、クロウリーの独特の魔術理論を理解することが大切。
プロの占い師さんでも、どこか敷居が高いものとなっています。