七つの元型について。元型はそれぞれの人の心にあります。

１シャドウ

もう―人の影のあなた

普段は表に出さない、あなたも知らない、普段は全く気がつかずに、抑圧されているもう一人の自分を、シャドウと言います。
シャドウはユニークな自分を演出する事によって、一方的に固まりかける自我の権威をぶちこわして、新風を吹き込む役割をしています。 何事にも表と裏があるように、あなた自身にも影があります。
シャドウは、大嫌いな人物に投影される事が多く、たいていは
「こんな人許せない」とか「嫌いだ」と、あなたが思う人格のタイプを備えていて、嫌いだからこそ、「そのようにしないように」意識をセーブさせていて、セーブしているからこそ「嫌い」という感情が生まれます。シャドーの受け入れがたい人格は、それを認識しうまくコントロールしていく事によって心の弱点を認め、現実世界での現象をスムーズにする可能性を秘めているものです

２・ペルソナ

あなたの仮面

人は誰でも、生活の中で役割にのっとり、無意識のうちに、その場にふさわしい態度を取ろうとします。礼儀正しく振る舞い、上手に本音と建前を使い分けます。親は親らしく、学校の先生であれば、それらしく振舞おうとします。ペルソナは、社会性の代名詞、本人の名詞のような役割を象徴していて、なければ社会に対応できないので、複数のペルソナを使い分けています。服装や身の回りのものを通して表現される事が多く、ふさわしい格好で仮面を表現しようとします。
◇夢の象徴◇
衣服、はきもの、帽子、持ち物、品物。格好、立場箱や制限される状況など 。
◇夢の解釈 ◇
日頃尊敬している人がぼろぼろのこじきのような姿で現れたときは、その人の真実の姿を夢が映し出していることがあります。
その場にそぐわない格好をしている時、夏なのにコートを着て外出しようとしているなど、「もっと上手に自分を演出するように」という夢からのメッセージと言えるかもしれません。
※ペルソナは、過大なイメージを引き下げたり、上げたりして物事の本質を知らせたり、調和をとる意図で夢が演出しています。

アニムス・アニマ

異性的な部分を象徴

ラテン語で「魂」「風」「息吹」などの意味があり、人間は本来「女性と男性を兼ね備えた存在」で、男性であっても女性的な面、永遠の女性のイメージを持ち合わせています。人は、男性は男性、女性は女性、と、性のとおりに役割分担をして成長しますが、異性の部分が未発達になる事が多いので、何か自分のなかに欠けた感じがしてくるのです。心のなかで成長しきれないまま眠っていた異性が、様々なイメージをともなって欠落間を埋めようとして出てきます。
人も中年期になりますと、心が成長して、アニマとアニムスの均衡がとれて人間が成熟してきます。
◇夢の象徴◇
恋人、異性の友人、異性の兄弟などで現れ、「アニマ」は、情熱、優しさ、感情的などを示します。そこはかとないムード、もやもやした気分、恋愛感情。母親、娼婦、聖女、賢女など。
「アニムス」は、行動力、意見、論理などを示します。どことなく暗いムードで現れることが多く、力、スポーツ選手やパイロットなど肉体を示すもの。男性的、知識や意見を告げる人。

◇夢の解釈◇
異性の夢は、全てアニマ、アニムスの範疇ですが、永遠無二の自分自身の異性の象徴で、異性に関わる事で、自分の幼児性を抜け出し人格の完成に向かうことを意味しています。
男性のアニマは少年～青年期～壮年期と大きく変化し、少女であったり、娼婦であったり、清らかさを兼ね備えた女性である事が多く、アニメの主人公に代表されるような手が届かないような美人が対象となる場合が多い。
女性の場合のアニムスは、特定のモデルがなく、多様性に富んでいるといわれ、アニムスの発達に従って中性的な人格を備えるようになります。
※アニムス、アニマと関わることで、欠落した部分を埋め合わせようとします。自己の心の成長段階にかかわり、変貌、再生、新しい価値観を示しています。

グレートマザー

太母、母性を象徴

アニマも、マザーも、同じ女性ですが、アニマは自分自身の仲間であり、グレートマザーは一方的に影響を受けるもので、はっきりと違う面をもっています。太母と言われ、太古の時代から古今東西で作られてきた、丸い形でいびつに形作られた土器。
偶像が多数ありますが、それが人類の共通した太母のイメージです。子孫を生み育て、全ての繁栄の元を養い慈しむ存在であると共に、コントロールし、状況が変われば、全てを飲み込み食べてしまうような、懐かしさと恐ろしさの混ざり合った混沌としたものの象徴です。
原始的な母性、全ての女性は母親になる素質があることから、究極の女性の目標、女性像と言われています。
◇夢の象徴◇
土偶イメージ、母親、祖母、おばあさん、女神、菩薩、看護婦、保母、教師、女性の上司、尼さん、口裂け女、魔女、洞窟、迷路、海、乳房、月、ドラゴン、渦巻き模様、地下世界。同情、世話、共感などの要素。
◇夢の解釈◇
マザーは母性を象徴していますが、実際の母親というよりも、自分で豊かに育てていくものです。
マイナスのマザーは、海に飲み込まれるとか、ドラゴンに捕まるとか支配的な形で現れます。
マザーコンプレックスとして男性の方が夢に出やすく、戦って逃げ出すような夢をみた場合、本人が今、自立をしようとしていて、マザーと離れ自分自身のアニマをマザーとして育てていこうとしている、という意味となります。
プラスのマザーは、女神やマリア様のような究極の女性の理想像として表れます。
※グレートマザーは誰の心の中にも潜み、一方的な影響を与えています。現実の母親との関係が良好でなかった、あるいは母がいなかった場合でもマザーは育ちます。マイナスのマザーを払拭し、素晴らしい太母像として創造力豊かに育んでいくことが目標です。

老賢者

父性を象徴

老賢者は、社会的な野望や困難に拘束されず悠々自適で、真理と秩序、道筋をさし示し、他人を自由自在に動かせる神のような存在を示しています。
この世の真の英知を体得している存在であり、法律や秩序、道理、道徳、進むべき道筋を、尊敬できる人の姿で現れては、様々な導きやメッセージを送り続ける役割を担います。
男性にとっては目指すべき理想像で、成長の最終的到達点といわれ究極的な目標ですが、人であるかぎりは簡単には到達できないのでそれに近づく為の努力をする事や理解することを期待されています。女性にとっても老賢者は尊敬の対象であり、心を許して甘えられる対象でもあります。
老賢者のマイナスイメージは、その力を持って闘争や破壊、嵐や稲妻などに代表する厳しさで表現され、何事も意のままに振舞おうとする横暴なものとなります。
狭い範囲の秩序や道徳を重んじるあまりに、老賢人が暴走した姿でメッセージを出してきます。
◇夢の象徴◇
神、老人、仙人、上司、巨人、校長、社長、学校の先生、法律家、警察官、知恵、善悪、王様、稲妻、嵐、雷など
◇夢の解釈◇
自分の中の老賢者が厳しい形で出た場合、雷に打たれたり、巨人に踏み潰されたり、自由を押さえつける形で夢に出たりすることがあります。
老賢者の影響が弱い場合、理想イメージが育っていないため現実社会に対応するのが難しくなり、秩序に合わせられなくなりますから、自分の中の老賢人のメッセージに耳をかたむけ、大切にし敬う気持ちを持つことが大切です。
※老賢者は何気なく知恵や打開策を示してくれたり、手本となって夢に出て来る事があります。自分の中の老賢者を大切にし、理解し 近づく事によって向上していきます。