姓名判断占いを受けたお話です。

凄腕の姓名判断


私の住んでいるような群馬の片田舎でも、けっこう当たる占い師さんがいるのです。
皆さんのご近所ではどうかしら。
もしかしたら、誰も知らない。あなたの運命を変えてしまうような凄腕の占い師がすぐ近くにいるのかも。しれませんね!
今回の話はちょっと面白い占い方をする姓名判断の先生です。

まだ若かれしころ。知人の紹介で姓名判断の占い師を訪ねることになりました。

そこは険しい山の中腹にある、特になんの特徴もない印鑑屋さん。
そこのおじさんが姓名判断の名手という噂を聞いたのです。なかなかの腕前らしい。


ここで姓名判断をあまり知らない人のために、簡単な説明をすると、姓名判断というのは、文字の画数を足して総合運などを出す占いである。

こんな感じで数字を出して占うのだ。
■天格―先祖から受け継がれた運をあらわす。
■人格―中年期の運勢をあらわす。
■地格―幼年、青年期の運勢をあわらす。
■外格―対人関係や夫婦関係などをあわらす。
■総合運―その人の総合的な運勢や、家庭環境、性格などをあわらす。

姓名判断で、わかることと言えば、その人の性格、幼年期、中年期、壮年期、晩年のおおまかな運勢。
すごく取り入れやすい占いで、画数さえ覚えれば、なんとかなる占い。
だから、姓名判断を補助的に使って占う占い師さんは、とっても多い。


私は今までに4.5回、姓名判断の占い鑑定を受けたことがあります。
しかし、どうも私の画数はひとつも良いところがないらしく、かなりひどい評価であった。
とある姓名判断占い師さんは

「あなた!ちょっとこれは大変ですよぉ~」 と低い声でうなっていたし、とある、おばあさん占い師には
「なんて、業の深い人だろう。ワタシはあなたを鑑定して、1週間寝込んだんですよ。」
なんてことを言われたりして、結果はさんざんであった。

はいはい。自分の名前はどうせ悪いですよ、と半ば諦めの気持ちでいました。


それでも、どうして姓名判断を見てもらおうかと思ったかというと、その当時、結婚を意識しはじめていたからです。
たいていの女性は結婚すれば姓が変わりますね。

苗字が変わって、心機一転、自らの心に節目(あきらめ?)をつけるとともに、生まれ変わった気持ちで新しい生活に踏み出すのです。

悲しいかな女性の運は夫しだいという側面はどうしてもあり、良くも悪くも結婚を期に全然人生が変わっちゃったという人はとっても多い。
姓名の影響力というのは思いの外大きくて、画数は未来の生活の一旦を暗示しているの
ではないか、などと、例によって、そんなことを考えるようになっていたわけです。

そして、自分で結婚後の名前を占ってみると、本名に輪をかけて大変悪く、良い画数は1つもないというすごい結果が出てしまったのです。

そこで、このさい、はっきりと印籠を渡してもらう決意をしたのです。


さて、いよいよ本題の占い師の話ですが、お店に入ってみると象牙や水晶などの印鑑が沢山置いてあり、普通の印鑑屋さんといったところです。
中に入ると奥さんが出てきて、奥の間に案内してくれました。
「どうぞ、よろしくお願いします。」


姓名判断をしてくれるのは、そこの家のご主人で、いかにも頑固一徹、といった感じの中年のおじさんでした。
差し出された用紙に自分の名前を大きく書いて渡すと、おじさんは苗字と名前の画数を計算しはじめました。
私が先手を打って
「私は今までに何回か姓名判断を見てもらっているんですが、どの人にも悪いって言われるんです。」

と言うと、おじさんはとても不機嫌そうな顔で
「いや、なかなかいい名前だよ。どこが悪い?」 と一言。
「はぁ、そうですか。」
「体は頑丈だし、健康そうだけどあんた少し低血圧だろ。」
「あれ??そんなことまでわかるんですか?」

血圧のことまでわかるとは、ちょっとびっくりした。
私の体はたしかに丈夫で、いかにも健康そうに見えますが、以外と血圧は低いのです。
さらに、続いて
「あんたお父さんっ子らしいけど、家族との折り合いが悪いみたいだね。」
「はい、その通りです。」
「悪い名前じゃないっていうのはな。この名前の人は、なんの不自由のない生活をおくれるという名前なんだよ。結婚相手は、間違いなくいい旦那であんたに尽くしてくれる。子供は女の子がはじめで、お母さん思いの良い子に育つ。あんた、こういう名前をつけてくれた、ご両親に感謝しなくちゃいかん。」

「ええええー??そうだったんですか??」

なんだか、今までの姓名判断とは、相当に違うのでとまどいを感じたが、妙に具体的で、けっこう当たっているような気もする。
でも、将来の夫のことや子供のことまでわかるとは。
もしかして、霊感占いかとも思ったが、おじさんに聞くと姓名判断だ、という。


そこで、さっそく結婚後の姓名のことを聞いてみた。 「こういう苗字に変るんですけれど、どうでしょうか?」
おじさんは、いくつか数字を出したあと、

「この名前になれば、夫、お姑、子供、友人全て大吉ですよ。あなたがわがままさえ言わなければね。女としての幸せが全て手に入る」

「・・・はぁ」

「この男は、よく働くけど、女房運がないから結婚できるかどうか。できても悪妻で苦労するようだな・・・。ふむ。あなたと結婚するのはこの男のようですね。

おじさんは、確信を持ったように、そう言いきったのです。
ちょっと姓名判断らしからぬ、細かい判定。
そうとう自信があるようだし、口は悪いけど、腕は確かなようだ。

「おじさんの占いは、秘伝なんだけど、まあ、それを教えても読み取るようになる占い師はほとんどいないな。教え事ではなくて才能だからね。市販の本に書いてあるのは全部デタラメなんだよ」

などと、立て板に水のごとく話はじめ、自信たっぷりである。
私は今までの思い込みがくつがえされた驚きで、呆然となったが、姓名判断ってこんなに詳しくわかるものだとは知りませんでした。奥が深い。後日、おじさんが書き散らかした数を計算してみたのだが、どういう因果でその数が出るのか今だによくわからないです。
しかし、この1件で私が結婚について前向きになれたのは事実である。

おだてに乗ったと思えばそれまでかもしれないけれども、こんな風にはっきりと、しかも大吉だと言いきられたら誰でも心が動くというものです。


~おまけ~
これが、おじさんに見てもらったという、結婚後の画数です。
おじさんは旧字で出していましたが、これってどうにみても画数の中でも最悪な数が揃っていると思います。
悪すぎて良いみたいな感じ?でしょうかね。 

↑ PAGE TOP