東洋占術。十干について。

十干について

五行説と陰陽説。もともと別個の考え方だったのですが、次第に二つが結びつくようになります。

「陰陽五行(十干)」は、中国の黄帝の時代に大撓という人が考えだしたと言われています。
それが次第に暦と結びつき、干支となりました十干は無形の気を示す天のものなので、実態がなく地支と合わさることで、はじめて現象として現れるとされています。

十干 甲乙丙丁戊己庚辛壬癸

押で、押さえ込んでおき、春になるとそれが開き、冬になれば閉じます。甲は兜で、ちょうどかぶとのようにくるんで植物の種が出ない状態という説もあります。
軋で、きしり、すれあうことです。春の季節、万物が皮をといて、すれあいながら抜け出ることをさします。陰の気が強くそのため屈曲している状態を示します。
柄で、ものが成長すると柄から両側にぐいぐいひろがって、勢いよく育ちます。丙は、柄「あきらか」ということで、夏は万物が盛大になり、火が燃え広がるようにあきらかになります。
亭で、草木が成長したあげくに勢いが止まるという意味です。壮丁で一人前になった意味だという説もあります。
貿であり、易である。「変る」ことです。成長がきわまって体が変わり、戊は茂で、繁茂することだとする説もあります。
紀で、糸のもつれをほぐすきっかけとなり、「起」で枝や葉の繁茂した中から解くに秀でたものが頭をもたげて伸びてくることです。万物を辟蔵する貌を意味し、基という意味もあります。
更で、万物が実り更革する貌を意味し、あらたまることです。
新で、成長熟成して凋落した貌を意味します。
壬で、妊という意味もあり「はらむ」です。
揆で、「はかる」です。陰の際では陽を孕み、地中に入る時をはかっている貌を意味し、規則正しく物事を萌芽させます。


十干の性格

理想主義、統率力があって人の上に立つ。リーダー的な役割を担う。仁の心、思いやりがあり徳望がある。曲がったことを嫌い、融通が効かない一面もあり。大木のごとく、目的に向かって一直線に伸び、快活、剛直。プライドも高いが、外的環境に左右されやすく、いったん傷つくと立ち直りが難しい面もある。
甲木は大地に根をおろし天に向って真直ぐに立ち、末長く樹立し育っていくことが理想で、 太陽の光熱(丙)と、適度な潤い(癸)があって寒暖の調和がよいことが大切で、根をまもる少量の土があれば(戊己)、漂い流れる心配はありません。
成長するためには金の剋を嫌いますが、枝葉が繁り過ぎる時は、刃物(庚、辛)で剪定する必要もあり、棟梁の材となって、丁火が庚金を鍛えるようであれば、なお良いとされます。特に大切な干支: 太陽の光熱(丙)・雨露の潤い(癸)・刃物の剪定(庚)
柔弱で、消極的な面があり、繊細。策によって事を成す。快活ではあるが、どこか優柔不断で依頼心が強い。安定志向が強くて、和を大切にする。草花のように、可憐でやわらかく敏感で、地面に根をはるがごとく人脈が広く、要領が良い。
乙木は植物にたとえられ、果物、穀物や、桐や桂、珍しい草花のように、人を楽しませることが使命となります。そのためには、陽光のもと(丙)で成長することや、水の潤い(癸)の恩恵を浴び、根を守る(戊己) があれば安全に発展します。金水が旺じて浮木し漂流することを恐れ、甲木が近くにあり、藤躍繋甲すれば一年を通して守られることになります。特に大切な干支: 太陽の光熱(丙)・雨露の潤い(癸)・垣根(甲)
明朗で、派手な面があり、情熱的で華やか。面倒見がよく、好奇心もつよい。細かいことは苦手であっさりしている。素直に感情を表現する。太陽のごとく、自ら働きかけ、裏表がないが、天候の具合によっては救いようがなく陰気な性質となる。
丙火は太陽の光熱に喩えられ、美しい風景を構成して、人の目を楽しませる事が理想となります。太陽の高熱は一方的な強さがあり、冬の冷たい水も恐れず、海や湖(壬)があれば輔映湖海の象となり海中より陽が映える美しい風景を形成します。太陽はかげる(癸)ことを嫌い、山(戊)があれば日が陰り晦くなってしまいます。庚で水を調節しますが、辛があればひるむ。火旺の時に甲が巡れば炎上して自滅します。特に大切な干支: 壬水(輔映湖海)
礼儀正しく、何事にも用意周到。物腰がやわらかく、従順、表面は控えめで品の良さがある。洞察力にたけていて、知恵もあり、冷静な観察眼。炎が移り変わるがごとく、熱しやすく冷めやすく、調子の良い人も多い。温和だが、内面に激しさを含み、せっかち。
丁火はひとつの蝋燭に例えられ、精煉のエネルギーとして、火種が消滅しないように常に燃料が有って燃え続ける(甲)ことが求められます。そのためには、火力の調節機能がうまく出来ている事(庚) も必要です。夏月に丙があれば光を奪われますが、甲の湿気を天日にさらし、甲庚を乾かして良い環境となります。丁火はいかに旺じていても、水の直接の剋を嫌いますが、甲の調節があれば一年を通して恩恵をうけることができます。特に大切な干支: 甲(燃料)・庚(調節)
体面を大切にして、責任感が強い。野心家で、派手。大きなことを好む。小さなことにこだわらず、諦めも早い。山岳が、どっしりとしているように、動かない。万物を育むがごとく、包容力があり世話好き。硬く、頑固であるが、山の天候が変化しやすいがごとく、気分屋な面がある。
戊は、山や堤防等の高く厚く乾燥した土であり、豊かに万物を育成していくことが理想の姿です。秋冬には万物を蔵して成熟させ、適切な太陽の光(丙)があれば活動しはじめ、沢や谷などの水を豊かに溜め(癸)、木で疏土開墾して(甲)支障を取り除くことができれば自然発福していきます。中正の地ですから冲動なく静かなことを好み、火が旺じて乾燥し、火炎土燥となって禿山のような姿になれば万物を生育することができなくなります。特に大切な干支:・甲 (疏土開墾)・癸 (潤い) ・丙(太陽の光熱)
規則ただしく、真面目で、コツコツと結果を残す。熱しにくく、冷めにくい。常識を大切にし、安定感があるが、マイペースで鈍感。周囲の適応に遅れをとることがある。湿土のように粘りづよさがあり、注意ぶかく安定を重んじて一途である。
己は田畑に喩えられる柔かい湿土で、木や植物、野菜や穀物をよく育てて、豊かな成果をあげる姿が理想となります。太陽の光(丙)がよくあたり、水の潤い(癸)があれば滋味のある土となります。土が木を生じますから、木の剋を恐れず、良く生金し、土が深ければ水旺を恐れませんが、壬と並びますと濁壬し、泥土となってしまいます。 特に大切な干支: ・丙(太陽の光熱)・癸(水の潤い)
負けず嫌いで剛気である。義理人情、正義を重んじて融通が効かない。権威主義で押し通す。落ち着きのあるようで、軽率、きまぐれなところがある。変化を求め、改革を好む。鉄のように、強く鋭い手腕。使い方を間違えると自他共に傷つく。定期的なメンテナンス、鍛錬が必要。
庚金は十干中最も強い干で剛健となる要素をもっていて、鉱石のままの金属、山から掘り出されたばかりの金属ですから、丁で鍛錬されて、刃物や使いやすい金属に形をかえてることで初めて値打ちがでます。壬で冷やせば形成されますが、火旺月以外は、水に洩身することを避けるのは、丁を合尅してしまうからです。湿土より、よく生金されますが、土多埋金となり脆くなるのを恐れます。甲を切り裂いて引丁し、乙を見れば情けをかけて弱くなります。特に大切な干支:  丁 (鍛錬の火)
冷静でやや陰気。プライドがたかく、美しい。神経質で、繊細、デリケート。辛抱つよいが、中立的態度がとれず、ハッキリさせたがる。的確な決断力、現実的である。貴金属のように、傷つけられることを恐れ、鋭い。質と価値にこだわり、冷淡。
辛は純金や宝石に喩えられ、柔かくて純粋な金属ですから、水で清められて磨かれて、光沢を表すようになることを好み、水中に有れば宝石は光を増して価値が高まります(金白水清)。湿土に生金されるのはよいのですが、土多埋金(戊己)となって埋もれることを恐れます。水旺となれば深い海底に達し孤独となって気付かれない宝となります。丙の光熱で寒さを解く必要があります。繊細な金属ですから、金旺であっても、丁での直接の剋や、甲の鍛錬を好みません。特に大切な干支: 壬(洗練されて輝く)
度量が大きく、融通性に富み、環境適応力に長ける。風来坊的な気質で自由をこのみ、時に放浪癖がある。多才でユニーク。つかみどころがない。反省心がうすく、他人まかせ。川の流れのように、束縛されることを嫌い、好奇心のおもむくままに存在する。
壬水は大きな水で、とうとうと流れる川や海や湖に例えられます。灌漑され用水路となって人の役に立つことが理想の姿です。壬水は丙があれば輔映湖海の象となって美しい風景を映し出し、金が旺じれば流れが滞って淀み腐ってしまいます。水旺に過ぎた時には奔流と成り、万物を思うがままに押し流し、周辺に大きな被害を出しますから、戊の堤防や甲によって納水する必要があります。特に大切な干支: 戊(灌漑)・丙(輔映湖海の象)・甲(水勢の調節) 
真面目で勤勉。研究心がある。正直で率直である。潔癖で、神経質。純粋なだけにナイーブな面がある。知性が専攻し、理づめで、本質がとらえにくい。水が、さまざまに形を変えるように、環境に適応し、変化する。その場その場で、見合った対応をとる。
癸は不及して流れが絶え易い水ですから、庚、辛の水源が有って泉の流れが絶えず、銘仙百選のように人々に愛用されたり、洗い水として活用されることで値打ちがつきます。金水旺じる時は、丙火であたためて清らかにし、陽干の壬の弊助がある場合は、戊で制することも必要となります。よく甲を育てて助け、さらに濾過されて純なることを喜びとします。特に大切な干支: 庚、辛 (水源)・甲 (水勢の調節)

滴天髄による十干の記述

甲木は参天の勢いあるものにして、脱胎に火を要す。春は金を容れず、秋は土を容れず。火が熾んなれば竜に乗るべし。水が蕩すれば虎に騎すべし。地潤い、天和すなれば、千古にわたって植立す。
乙木柔といえども、羊を削き牛を解く。丁を懐きて丙を抱けば、鳳にまたがり猴に乗るべし。虚湿の地、馬に騎すれどまた憂う。藤蘿繋甲、春よし、秋よし。
丙火猛烈、霜をも欺き、雪をも侮る。庚金を鍛えるに能いするも、辛に逢えば反って怯む。土衆ければ慈を成し、水狙んなれば節を顕す。虎馬犬の郷、甲来たれば焚滅す。
丁火は柔にして中、内性昭かにして融かなり。乙を抱きて孝、壬に合して忠をなす。旺ずるも烈しからず、衰えるも窮まらず。もし嫡母(甲のこと)あるなれば、秋よし、冬よし。
戊土は固重にして、既に中にして正。静なれば翕じ、動ずれば闢き、万物の命を司る。水が物を潤すなれば生じ、火が物を燥とするなれば病む。もし艮坤にあるなれば、冲を怕れ、静を宜しとす。
己土は卑く、湿なるもので、中正にして蓄蔵す。木盛んなるを愁えず、水狂うとも畏れず。火少なきは火晦く、金多きは金光る。もし物旺ずるを要するなれば、助けるが宜し、幇けるが宜し。
庚金は殺を帯び、剛健たること最たるものなり。水を得れば清く、火を得れば鋭し。土潤えば、すなわち生じ、土乾くはすなわち脆い。甲兄によく羸つも、乙妹に輸す〔まける、やられる、の意〕。
辛金は軟らかく弱きものにして、温潤なれば清し。土の重なるを畏れ、水の盈るを楽しむ。よく社稜を扶け、よく生霊を救う。熱なれば、すなわち母を喜び、寒なれば、すなわち丁を喜ぶ。
壬水は河に通じ、よく金気を洩らす。剛中の徳ありて、周流して滞らず、通根して透癸するは、天を沖し、地を奔る。化すれば、すなわち情を有し、従すれば、すなわち相済う。
癸水は至って弱にして、天の津に達す。竜を得れば運り、功はこれ神に化す。火土を愁えず、庚辛を論ぜず、戊と合して火を見るは、化してこれ真を象る。

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