名水百選「竜ケ窪」に伝わる竜神伝説
(看板全文)


竜神伝説 その1

昔、このあたりに芦ケ崎という村があった。ある年、長い日照りが続き村人は食べ物はおろか、水一滴すら飲めない苦しい生活をしていた。
あるとき、一人の青年が天上山へ食べ物を探しにでかけたが、そこで見たのは、昼寝をする恐ろしい龍の姿。
恐怖でおののく青年は、そばにある卵に気付き、年寄りと子供だけにでも食べさせようと、こっそり盗んでなんとか村へ持ち帰った。
卵を割り始めると、中から出てきた龍の子が、母親に助けを求めた。
すると、怒り狂った龍が直ぐさま現れ、村人を喰い殺そうとした。
村人達は、せめて子供だけは助けてほしいと必死にお願いし、村人達の必死さに心を打たれた龍は、三日三晩雨を降らせ、池を作ってやった。
村人達が礼をいうと、龍は「この池は、お前達の美しい心の象徴だ。しかし、人の心の曇るときこの池は涸れるだろう。」と言い残し消えたと云う。
村人は、この池を「龍ケ窪」と名付けて大切にし、神社を建てて竜神様をお奉りしたと云う。


竜神伝説 その2

この地域では、水が豊富なため雨乞いは、ほとんど行われないが、この池(龍ケ窪)に松之山や南魚沼地方から水をもらいに来る習わしが続いた。
日照りが続くと、一升樽に酒を入れそれを竹竿の先につけてかつぎ、二人か三人で訪れる。
龍ケ窪の弁天様にこれを上げ、ぼん様がお経を上げる。集落の役員も参列し、あとで酒を飲む。
空になった樽に池の水を入れ、竹の先につけそれに御幣をつけて持ち帰った。
雨を降らせたい処へその水を撒けば、必ず雨が降り、人々は皆お礼に再び池を訪れた。
水を持ち帰る際は、一休みする時も、肩から決して降ろしてはならず、地面に置いてしまうとその場所に雨が降ると云われた。


竜神伝説 その3

その昔、ある晴れた暑い日、信州の北野の天神参りに行った帰り道、暑気をさまそうと、龍ケ窪の池へ飛び込んだ。
中ほどまで泳いで行くと、不気味に霧が立ち始めた。あわてて岸へ引き返したが、霧はみるみる深くなり、空には暗雲が立ちこめた。
着物を着る暇もなく、慌てて家へ逃げ帰るが、逃げる通りに黒雲と雨は、何処までも追いかけ続け、その人は原因不明の病に倒れ死んでしまった。
これは、龍ケ窪の池の主に追われて死んだのだと云う。


竜神伝説 その4

龍ケ窪の池も昔は大樹老木に覆われて、陽光も通わぬほどだったという。
その昔、お寺の建立の話がまとまり四方から木材が集められ、龍ケ窪の老木切ることになった。
倒すとき思うようにならず、老木は池の中へ転がり込んだ。
人手を借りて一度引き上げるのだが、翌日行ってみると、また前と同じ池の中に入っている。
池の主の許しがないものと、引き上げることを諦めた。
その老木は、今も池の底で朽ちることなく、その姿をとどめていると云う。




看板から、書き写してみました。

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