〜12月の庭〜
冬の足音


こつこつと足音を響かせて
冬が庭先までやってきた
すっかり朝寝坊になった太陽が姿を見せるまで
私は今朝も冴え冴えとしたしじまの中
用心深く枝をかき分け葉裏をさぐる
あなたが凍えていませんように…



緋色の花が美しいパイナップルセージ。大株になってあっという間に庭を席巻してしまうので大きめのプランターで育てていますが、ひとつひとつの花穂はとても繊細。
私の庭の一年を締めくくるのは、すっかり冷たくなった大気の中、燃えさかる炎のような赤い花たち。春からずっと咲き続けたチェリーセイジの赤は、寒さとともに暗赤色に変わってゆき、このパイナップルセイジはますますその鮮やかさを増してゆきます。霜が降りて本格的な寒さに覆い尽くされるまで、健気に咲き続ける初冬の庭の主役です。
(1999.12.5)

小振りの葉が艶やかで美しいローズマリー・マジョルカピンク。分枝が多く、こぢんまりと草姿がまとまりやすい品種なのですが、私の庭の彼女は自由奔放。それはそれで愛嬌があって可愛らしいので、伸びるがままに育てています。クリスマス間際になると、リース作りの主役として、Big Maryとともに大活躍。今年はどちらも花つきがいいので、きっと豪華なリースができるでしょう。その名の通りピンクがかった花は、ブルー系が多いローズマリーの中でひときわ愛らしい姿を楽しませてくれます。寒さにはやや弱いと言われていますが、私の庭では特に防寒もせず、地植のまま冬を越しています。
(1999.12.5)

ちょっとエプロンの裾が触れただけでセンテッド・マリーゴールドの強い芳香は、あたり一帯に漂います。こぼれ種で庭のあちこちから顔を出すのですが、その葉はまだ小さいうちからこの香りを放ち、さながら自己主張をするがごとく庭仕事中の私を呼び止めます。黄色の可憐な花と、このあまりにもゴージャスな芳香は、どうしてもミスマッチに思えてならないのですが、そこが彼女の魅力なのかもしれませんね。
(1999.12.5)

「11月の庭」でご紹介した富有柿も、12月に入った途端みるみる葉を落とし、濃く色づいて甘みを増した実は、ひとつひとつ丁寧に収穫しました。「木守り柿」は、また来年もたくさんの実を付けてくれますように、と祈りを込めてひとつだけ枝に残すもの。 冬の季語にもなっています。

 柿ひとつ空の遠さに堪えむとす  石坂洋次郎

私の庭ではひとつではなく、3つ4つほど残します。毎日空から様子をうかがいに来ていたお客さまが、がっかりなさるといけませんからね…。
(1999.12.5)

そろそろ出番のヒイラギ。NHK文化センターから出された「誕生日の花」というカレンダーによると、私の娘の誕生日はヒイラギ。ヒイラギモクセイ、ヒイラギナンテンなど、庭木として昔からこの庭にあった仲間たちに加え、ケーキの飾りのように艶やかで小さな葉のミニヒイラギや、上品な赤い実を付けるクリスマスホーリーなど、昨年からたくさん仲間入りしました。写真はごくごくふつうのヒイラギ。クリスマス間近になったら、赤い実のレプリカでお洒落をして、玄関でお客さまをお迎えします。
(1999.12.5)


+++ ティーツリーの冬支度 +++


小さなガラスのスノーマンをあしらって
オーストラリア大陸にだけ自生するというティーツリーの木が、最近では日本でも手に入るようになりました。私も一昨年、「ハーブと仲良し」の田中さんのところから分けていただき、大切に育てています。
近縁種も多いティーツリーですが、これは正真正銘のメディカル・ティーツリー。細い葉をちょっとつまんで揉むと、アロマテラピーではお馴染みのあの強い殺菌力を持つ精油と同じ特有の香りが立ち上ります。春から秋にかけては、地植えにしてのびのびと育てるのですが、冬の寒さは大の苦手。そろそろ霜の便りも聞かれるようですから、今日は思い切り枝を切りつめて、鉢上げをして廊下の日溜まりにお引っ越し。しなやかで優しい色合いの葉を持つこの木は、観葉植物として、冬の間の家の中で楽しむことができます。

鉢上げのすんだティーツリー
(1999.12.5)


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