〜11月の庭〜
ゆく秋は豊かに


日に日に秋が深まれば、
命を謳歌した季節を終えた者たちが
豊かな実りのときを迎える。
再びの命を、静かに静かに紡ぐように…



すっと伸びた枝が撓るほど、ピラカンサの豊かな実り。その艶やかな赤い色は、差し延べた手の爪の先まで染めてしまうのではないかと思うほど。こんなにたくさんの実が熟す頃になると、長い尾をしたお客さまたちで大にぎわいになります。ほらほら、こんなにたくさんあるのだから仲良くすればいいものを、なぜかそのしなやかな姿とは不似合いなほどの激しい奇声を上げて争いが始まることもしばしば。鳥たちの世界も、いろいろと難しいのでしょうか・・・
(1999.11.13)

秋を代表する花と言えば、やはりキクでしょうか。私の庭には、何の丹精もしないまま伸び放題咲き放題の一群があります。切り花にもちょうど良い小振りな花は、その年によって花びらの濃さがまちまち。去年はかなりボタン色によった濃い色だったのに、今年は縁がピンク色をした白い花弁のものが殆ど。どういう都合でこんな変化がでるのかしら、と不思議に思いつつも、今年はどんな色が咲くかといつも楽しみに待つのです。
(1999.11.13)

南側の庭にある富有柿の老木は、それはそれは大きくて甘い実を毎年楽しませてくれます。少し平らな角張ったような特有の形は、日本の柿の代表選手といったところでしょうか。この界隈は、軒並みこの富有柿の大きな木を持つお宅が並んでいるので、この季節は秋晴れの空にひときわ映えるだいだい色の実の一群が、あちらこちらで見られます。いかにも郷愁をそそられるような日本の秋の風景…。
(1999.11.13)

一重咲きの白いサザンカ。凛として潔い咲き方がなんとも素敵で、私はこの花の咲く季節が楽しみです。今ではすっかり大きくなったBig Maryと、枝を接するようにしているので、ちょっと可哀想ですがこの木は、下枝を殆ど落とし、上の方だけ新枝を広げさせて咲かせています。そんな状況の中でも、今年もこんなに見事に咲いてくれました。
(1999.11.20)

左の写真は、私の家の近所のイチョウの並木道。すっかり黄金色に染まった葉が冷たい風に吹かれて歩道に散り敷く様子が、いかにも秋らしくて素敵で、思わずシャッターをきりました。歩道左側の、昔のガス灯をモチーフにした街灯も、この街ではよく見かけるものです。黄昏時になるとうっすらと灯る灯りは、晩秋の夜空を殊の外ロマンチックに彩ります。 右の写真は、かつてこの地に君臨した酒井氏の居城、厩橋城址界隈の石垣。この一帯は季節ごとに美しい木立の変遷が楽しめる公園になっており、散歩コースにもぴったりの場所。桜の木も多く、春ともなると花見客で賑わう市内一のスポットです。今は静かに役目を終えて金色に輝きながら散りゆく木の葉が、足元の石段を埋めています。
(1999.11.20)


+++ 宝の山からの贈り物 +++

春には山菜採り、秋にはキノコ狩り、そんな素敵な趣味を持つ知人の方に誘われて、主人は年に何度かその方の「庭」である山を訪ねます。秋の山は文字通り宝の山。あちこちに「ならぶさ」というキノコの群をみつけて、大収穫にごきげんのようでした。春、山菜やタケノコをたくさんとってきたときはご近所にお裾分けするのですが、実は私、キノコはどうしても人様に差し上げる気がいたしません。主人の知人は山に慣れたキノコにかけてもプロの目を持った方。さりとてこの季節になると一つや二つ必ず新聞記事になるような中毒事件が気にかかるのも事実。ですからどなたにも差し上げません。念のため…。それでも主人は、手際よく下ごしらえをして、小分けにして冷凍保存袋に詰め込みフリーザーへ。夜食の麺類の具や、炒め物などに、しばらくの間重宝します。

右の写真は、紫色に熟したアケビ。この山にはたくさんあるそうです。秋らしい味覚としてだけでなく、無造作に生けても素敵な空間を作るこの味わいのある色と姿。また、このツルは柔らかいうちに上手に編んで、籠やリース台を作ることもできます。今日のツルは少し太めでしたので、やや悪戦苦闘でしたが、クリスマス用に大きなリース台を作りました。これは安心してご近所にもお裾分けのできる山のおみやげです。
(1999.11.3)


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