〜9月の庭〜
天使の旋律・エンゼルズトランペット



「こんなにたくさん咲いていたら、さぞかし賑やかで楽しいでしょうね…」
通りがかりのご近所の老婦人に花の名を問われて答えたら、
すかさず返ってきた台詞のなんて素敵なこと!
朝の新鮮な陽を浴びて咲く花の後ろに、天使の姿が見えたような気がして。
天使の奏でるトランペットの音色が聞こえたような気がして。




■あっという間に庭の主役

 今年の春、私の庭に初めて仲間入りしたエンゼルズトランペット。少し日差しが和らいだ頃を待っていたように、たくさんの花をつけました。写真左の、真下を向いて花を咲かせる黄色の株は、この春、園芸店で15センチほどの苗を買ったもの。目を見張るほどの旺盛な生長ぶりを見せ、「8月の庭・2」でご紹介した頃から比べてさらに大きくなり、たくさんの花をつけました。
 緑色のバナナのような小さな蕾が見え始めてから約2週間、その先端から華麗な花が顔を出します。咲き始めは淡いクリーム色なのに、徐々に濃い色合いになって5日間くらい咲き続けます。

 右下の写真は、斜め下に垂れ下がってピンクの花を咲かせる種類です。つぼみが開き始めても、完全に開花するまではクリーム色をしているので、突然ピンク色に変わるのがとても不思議な気がします。まだ若い株でそれほどしっかりとしていないうちにたくさんの花を咲かせたためか、添え木をしても少し幹が撓るような様子がちょっと痛々しい気がしました。


 虫害は少ないと聞いていましたが、初夏頃からハダニがたくさんついたり、ニジュウヤホシテントウの食害が見られました。ただ、肥料とともにたくさんの水を要求する植物なので、一日のうちに知らず知らず近づいて接する機会も多いので、被害も比較的早く見つけて対処することができました。

■注意しましょう、有毒成分 ご存じの方も多いと思いますが、エンゼルズトランペットには有毒成分が含まれています。でも、有毒植物であることを理解した上で、扱いに注意すれば家庭で十分楽しめるものです。口に入れることはもちろん厳禁。茎を切ったときの汁が、目や手の傷口などに入らないよう注意して育てましょう。普通に触るくらいなら問題ありませんが、小さなお子さんがいらっしゃる場合は気をつけてあげて下さい。
私の庭でエンゼルトランペットの鉢を置いてあるのは、普段皆さまによくご紹介しているフロントガーデンではありません。これは、やはり娘の友達もよく出入りするあたりに無防備においておくのをためらったのが一番の原因でした。

■冬を越したら・・・ 熱帯花木でありながら比較的寒さには強いエンゼルトランペットですが、このあたりで無事に越冬させるためにはやはり室内に取り込む必要があります。初めて接した植物ですので、今年の冬は十分ケアをして、また来年楽しめるように育てていきたいと思っています。来年はどのくらい大きく育ってくれるでしょうか。どのくらいたくさん花を咲かせてくれるでしょうか・・・。



+++ ダチュラ・・・心惹かれた響き +++

その昔、医者の華岡清洲が愛妻を実験台にして初めて麻酔を使った時の材料になったということで有名なダチュラ。正確に分類すれば、ブルグマンシア属に属するエンゼルズトランペットとチョウセンアサガオ属のダチュラは別な植物ということになりますが、しばしば混同されることもあります。私は、どちらかというと「エンゼルズトランペット」という夢のある可愛い名前よりも「ダチュラ」という名前に心惹かれてなりません。その理由のひとつは上記の華岡清洲の印象深いエピソードですが、もう一つの理由は、青柳志解樹氏の俳句。

 「別の闇ありてダチュラの花匂ふ」

この花は、夕刻になるとひときわ濃厚な香りを漂わせます。ダチュラの芳香が漂うのが「別の闇」であるのなら、この人のいるのはそれとは違うもう一つの闇。その闇はいったいどんなところなのだろう…、と、深く思いを馳せてしまいます。


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