〜8月の庭・1〜
涼風の高原へ


高原の風が渡ってゆくたび
優しい香りを漂わせながら揺れる
むらさき色の妖精たち。
ここは限りなく爽やかな別天地
下界の酷暑も夢のよう…





そよ風になびく満開のオカムラサキ
 梅雨明けからずっと続く暑い暑い毎日。今日は庭仕事をお休みして、家族で玉原ラベンダーパークへやってきました。いつもとはちょっと趣を変えて、爽やかな高原からのGarden Diaryです。
 私の住む家から普段なら高速道を使って1時間ほどの道のりにある玉原ラベンダーパークも、さすがに今日はシーズン真っ盛りとあって、山道にさしかかってからは長い長い渋滞。それでもやっとたどり着いた標高1,300mのこの地は、まさに下界の暑さを忘れさせてくれる別天地です。
 冬はスキー客で賑わうゲレンデにラベンダー畑ができて数年が経ち、オカムラサキを中心に植えられた5万株のラベンダーたちも、ひと株ひと株がずいぶんが大きく育って、見応えのある風情になりました。私の庭のラベンダーたちは、とうに花期を終えてしまったというのに、ここでは今が花盛り。そよ風になびく深い紫色の花穂の間を、たくさんのミツバチたちが賑やかな羽音をたてて飛び交っています。

 入り口ゲート前のエントランスガーデンをひと渡り楽しんでから、サマーリフトに乗ってハイランドガーデンへ。左手に深い木立を眺め、心地よい風を受けながら揺られること約10分。いっそう爽やかな空気の中、ここにもまた斜面を埋め尽くすように咲き誇るラベンダー畑。
 紫の海の彼方には、背の高い木製のカリヨンの鐘が澄んだ音色を響かせていました。
 ハイランドガーデンにある二つの大きなラベンダー畑を繋ぐのは、見上げるばかりのブナの大木たちが繁る小道。太い幹にそっと耳をあててみると、確かな命の音が聞こえてくるようです。木漏れ日の揺れる林を西側に抜けると、そこにもまた紫の花々。その先は遠くブナの森までの間をさらに埋め尽くすかのように、新しい苗が植えられていました。あと5年、10年したら、どれほど見事な姿を見せてくれるのでしょうか。とても楽しみです。

澄んだ音を響かせるカリヨン

ブナの大木

 ハイランドガーデンからの帰り道は、草の感触を楽しみながら約1kmの遊歩道を下ります。足元に青々と繁る草は、数ヶ月後には深い雪に埋もれてしまうとはとても思えないほどの勢いの良さ。
 ラベンダーの花と香りを満喫して再びエントランスガーデンまで戻ってくると、今度は名物のラベンダーソフトクリームやお土産ショップに心惹かれてしまいます。淡い紫のソフトクリームは、甘さの中にほのかにラベンダーの香りがして、たくさん歩いてちょっと疲れた体に、しみわたるような美味しさでした。
 ショップでは、他の観光地などでもよく見かけるお土産ものには目もくれず、この地ならではのものを探します。朝摘んだばかりのラベンダーの束や、今見てきたばかりの畑のものと同じ種類のラベンダーの鉢植え。オカムラサキは、近所の園芸店で見かけることがほとんどないので貴重です。すっかり剪定されて花は残っていませんが、かなりしっかりした株のものが1,000円とお買い得でした。

 長い時間を美しい花と香りに包まれて過ごし、ラベンダーパークを後にしたのはもう夕方。それでもまだなかなか沈まない太陽は眩しく、帰り道にある玉原湖の湖面をきらきらと輝かせていました。

ハイランドガーデンからレストハウスを臨む
(1999.8.1)


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