〜6月の庭・1〜
初夏を告げる花々


梅雨空がやってくる前のひととき、
オールドローズの甘い香りがあたりに漂い、
花々は艶やかに、緑はさらに深く濃く、ガーデンを彩る。
重なるように繁るハーブの隙間を歩くと、
私のエプロンの裾まで、ほら、こんなにいい香り・・・



オールドローズ・センティフォリア
これは数年前、私が一番始めに買ったオールドローズ。その頃から愛飲しているフランスのモーリス・メッセゲさんのティーにこのバラのつぼみがあり、素敵な芳香に夢中になって苗を探したのです。ですから愛着もひとしお。
八分咲きくらいのところを幾枝も切って花瓶に飾ると、部屋中に漂う上品な香り。こんな古い日本家屋でなく、洒落た洋館に迷い込んだような楽しい錯覚に陥らせてくれるのも、オールドローズの醍醐味といったところでしょうか。
(1999.6.5)

オールドローズ・メルベイユ
この名の響きが好きで、オールドローズを集めた大きな温室で一目惚れをして分けていただいたものです。フランス語で「素晴らしいもの」という意味なのですが、古語では「超常現象」という意味も持っているようです。意味はともあれ、つい心惹かれてしまったわけは、私が好きなアーティストのアルバムのタイトルと同じ名前だったからなのですが…
オールドローズにしては残念なことに香りが淡いのですが、花弁の多いカップ咲きの美しさは凛とした気品にあふれ、夕刻の闇の中では幻想的な姿を見せてくれます。
(1999.6.5)

昨秋、近所のホームセンターの片隅に、まるでゴミのように放り出してあった5号ポットの苗を、破格値で購入したロサ・ルゴザ(ハマナス)。枯れ枝のようだったY字型の細い枝も春先には柔らかな緑色の芽を吹き、みるみる育って大きな花をいくつも咲かせています。咲き終わった花はすぐ剪定した方が次の花のためにはよいのですが、実も楽しみなのでそのままにしています。
(1999.6.5)

一昨年、友人から贈られたアメリカン・ピラーという名のランブラーローズ。十分な広さがあれば、ぜひアーチやパーゴラに仕立ててみたいところなのですが…。
今年は、つぼみが次々に枯れ落ちてしまう病気で、花数が少なくてちょっと寂しいです。
(1999.6.5)

スイートマジョラム
地植にすると虫害がひどく、一晩で丸裸にされてしまったことも。これは昨秋に株を更新した鉢植えです。
甘くスパイシーで格調高いこの香りは、憂鬱な気分に効き目があるそうで、ティーにして飲むとよいようです。我が家ではティーではなく、肉料理のスパイスに活躍していますが。
(1999.6.5)


+++ Congratulation! +++

今日は那須高原のリゾートホテルへ結婚式のお呼ばれです。祝福の気持ちを込めて礼服の胸に飾るコサージュを作りました。ちょうど咲き始めたイングリッシュラベンダーと、「Lovers in a mist(霧の中の恋人たち)」というロマンチックな英名を持つニゲラ(写真右)の白い花の取り合わせ。車で三時間あまりの道のりの間にクタっとしてしまわないよう茎をテーピングせず、コップに差してクーラーボックスに入れて運び、現地で仕上げをしました。ほのかに漂うラベンダーの香りが心地よいコサージュです。
さて、主役の花嫁は私の従妹。美しく輝いて、とてもとても素敵なジューンブライドでした。おめでとう!いつまでもお幸せに!!
(1999.6.6)


+++ Congratulation! +++

緑に囲まれた総合公園の入り口にあるケーキ屋さんのギャラリーで、知人のイラストレーター、N氏が個展を開くことになりました。お祝いには庭のハーブの花かごを贈ることに。朝早くおきて今を盛りと咲く花々を摘み、水揚げをしてからアレンジしました。ラベンダーをふんだんに使えるのもこの時期ならでは。可愛らしい花にも不自由しません。梅雨に入っているとはいえ雨にも殆ど晒されずに生育したハーブたちは、草姿も発色も最高です。もう少し「腕」も良ければいいんですが…。
会場のカウンターには、すでに豪華な花が飾られていて、ちょっと気後れしてしまいましたが、N氏も奥様も大変喜んでくださいました。色数を押さえてシンプルな構図で描かれたN氏の絵には、ハーブのナチュラルな美しさがよく似合うような気がしました。
(1999.6.13)


一株だけでは結実しないと聞いていたのに、今年もちゃんと赤い実をつけてくれたラズベリー。でもこれは、収穫してデザートの材料にしましょう、というほどたくさんは採れません。毎日ほんの2〜3個が食べ頃に熟すくらいなので、庭に出たついでにちょっとつまんでは娘と仲良く分けっこして楽しんでいます。
(1999.6.14)

葉に触れるのがとても楽しみなレモンバーベナにぽつぽつと花が咲き始めました。香りを楽しむためには花を咲かせてしまってはだめ、といわれていますが、レモンバーベナに限らず、私は何でも花を咲かせてしまいます。だって、どの花も本当に綺麗なんですもの。別に香料を抽出しようというわけではないのですから、開花した株だって十分に香りは楽しめます。ただ、乾燥してティーにするのでしたら、開花前の葉を摘んだ方がいいでしょう。胃腸を労ってくれるというこのティーは、とても香り高く、フランスでは日常的に飲まれているということです。私は甘みのある香りをもつ種類のミントとブレンドして頂くのが好きです。
(1999.6.14)

インターフォンでもチャイムでもない、まさに「呼び鈴」といった旧式なボタンは、この古い家にずっと前からあったものをそのまま使っています。せめてちょっとお洒落をさせてあげたくて、こうして小さな素焼きの樽にお花を飾っているのですが、これがなかなか好評なのです。ボタンを押す指先がちょっと触れたとき良い香りがするように、葉や花も選んで飾ります。今日はストエカスラベンダー、カモミール、アップルミントなど、小さな枝先を切ってみました。
(1999.6.14)

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