side : Carlos
2002.08.04.
貴女を抱いて眠る夜。毎回自惚れを承知でこう思う。
今世界で一番幸せなのは。この世で一番幸運な男はきっと俺に違いない。
「『美人は三日で飽きる』って言うけどさ。アレって、嘘だよな」
「どうして?」
「だってジルはこんなに美人なのに、俺はいつまで経っても全然飽きない」
また、その表情。
心底本気で言っているのに、貴女は呆れ顔で流そうとする。
いつもの冗談だとでも思っているのか? それとも『美人』だなんて、そんな安っぽい賞賛の言葉は聞き飽きたか?
「その顔! 信じてないだろ!」
全く、素直じゃないな。俺じゃなかったら、その表情だけで簡単に騙されるトコだ。でもそれが本心でないことくらい、瞳を見れば分かるよ。
俺は知ってる。貴女は滅多に(決して?)本心を晒さない人だ。貴女が本音を言ったことなんて片手で足りる程しかない。
なぁ、感情を隠すのが上手くて得するのは、仕事の時だけだろ? ベッドの中でそんな事しても、何もイイコトないぜ。
いつもよりも少し腕に力を込めて、抱き寄せる。突然にした所為か、彼女の息を呑むかすかな声が聞こえた。構わず耳元で囁く。
「分かってんだろ? 俺にはジルしかいないって」
「それは初耳ね」
「嘘つき。俺は何度も言ってる」
深く深く。くちづける。
逃げずにキスに応じてくれるってことは、貴女も俺と同じ気持ちだと思っていいのか。
知っているはずだ。俺が貴女に嘘をつくはずがない、嘘をつけるはずがない事を。――なのに。貴女は何もかも承知で、そんな他愛もない嘘をつく。そんなに言わせたいのか。それならいいさ、望み通りうんざりするほど言ってやる。
「分かってくれるまで何度だって言うよ。俺はジルしか要らないんだ。ホントだぜ?」
言葉だけじゃ足らないか? 俺にどうして欲しいんだよ。
首筋から胸元から、ありとあらゆる場所を唇でたどって痕をつける。朝になったらいつもの様に貴女は怒るだろうが、構うものか。怒る貴女もセクシーで好きだよ。
自分がどうしたいのかはわかってるさ。でもこういうのって、自分だけじゃなくて貴女はどうしたいのかっていうのも重要だろ。身体だけじゃなくって、心までひとつになって気持ちいい方が絶対にイイに決まってる。
その嬌声は快楽に溺れろと俺を煽るけど、それだけじゃ物足りない。たった一言でいいんだ。最高に燃える言葉を囁いてくれ。
俺はもう貴女しか要らない。
貴女が欲しい。貴女しか欲しくない。
こんな言い方は傲慢だけど、貴女は俺のものだ。
他の誰にも渡すつもりはない。
どれ程俺が本気でそう思ってるかなんて、きっと分かっちゃくれないだろうけど。
貴女が許してくれるなら、俺は死ぬまで貴女のものでいる。
貴女に逢えたから、今の俺がいる。
飾っても、飾らなくても。何をしてても、貴女の全部が好きだよ。
- Fin -
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