side : Jill
2002.07.24.
貴方の腕の中で過ごす夜は、いつも思う。
どうして朝は来てしまうのだろう。永遠に夜が明けなければいいのに、と。
「『美人は三日で飽きる』って言うけどさ。アレって、嘘だよな」
「どうして?」
「だってジルはこんなに美人なのに、俺はいつまで経っても全然飽きない」
……呆れた顔して受け流すのが精一杯だった。
やめてよ。
こんな事を大真面目な表情(カオ)して言うなんて。なのに瞳の奥では悪戯好きな子供と同じ光が輝いているのは、卑怯だわ。思わずキスしたくなるじゃない。自分からなんて、そんな事したくないのよ。
「あーっ、その顔! 信じてないだろ!」
表情が、面白い位にくるくる変わる。子供の様なふくれっ面から一転して、ひどく真面目な表情に。
突然きつく抱きすくめられ、同時に囁き声と吐息が耳朶を打つ。一瞬息が詰まるほどの感覚に襲われる。
「分かってんだろ? 俺にはジルしかいないって」
「それは初耳ね」
「嘘つき。俺は何度も言ってる」
咎める様な甘い視線に濡れた声。
すぐにそれは深いキスに変わる。
何度だって言って欲しい。だから何度でも私は嘘をつく。
「分かってくれるまで何度だって言うよ。俺はジルしか要らないんだ。ホントだぜ?」
唇から外れたキスは、体中に落とされる。さっきの余韻がひききらない内に、また肌が火照り出す。貴方が欲しい……。
自分の感情を抑えておけない。
一秒毎に貴方が好きになる。一瞬前よりも今の方がもっと好き。
御願いがあるの。
どうか私のものでいて。
私を貴方のものにしておいてね。
滅多に言わない。だけどこれは真実。
――カルロス、貴方を愛してる。
- Fin -
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