■2年前からオールドローズを育てていますが、虫がすごいです。農薬はあまり使いたくないのですがいい方法はありますか?
(99.7.9.関東地方在住/ローザさまから)

バラといえば、多量の肥料と農薬が欠かせないものですが、その中でもオールドローズは比較的病害や虫害に強いと言われています。でも、美しい空気と恵まれた環境の中で育てるのではない場合は、やはり病気もするし虫害にも遭う、と私は実感しています。ローザさんのご質問にある「虫」とは、多分チュウレンジハバチの幼虫のことではないかと思うのですが、私の庭のバラたちも手ひどい被害に悩まされます。特にセンティフォリアとモッコウバラは油断するとあっという間に新芽を食べられてしまいます。
私も農薬を使わずハーブを育てているため、同じ庭にあるバラだけを消毒するということは難しいのですが、つぼみができはじめてから開花までの時期は、仕方なく粒状の「オルトラン」を使います。被害のある枝は切り捨てるしか方法がないので、せっかくのつぼみを無駄にしないためには仕方がないのです。これは株もとに撒いて根から吸収させ効果を発揮させる薬ですが、1回の散布でこの時期は乗り切るようにしています。もちろん、この場合、花はティーなど食用にしてはいけません。わたしは、バラはすべて観賞用と割り切って考えることにしています。住宅地の中にあり、周りをブロック塀に覆われた風通しの悪い私の庭では、大量にやってくるチュウレンジハバチと無農薬で互角に渡り合うのはとても不可能ですので。もちろん、バラたちのほとんどは鉢植えで移動可能にしてあり、薬を使うときはハーブたちから離しておきます。どうしても無農薬で、ということでしたら、環境にもよりますが、木酢液の散布でかなり防げるということを聞きました。ただしこれはあくまで殺虫が目的ではなく、除虫やバラ自体を壮健に育てて虫害から守る、という考え方ですが。一度お試しになってみはいかがでしょうか。
さて、オルトランに守られて何とか花期を終えた私のバラたちは、効果も切れたその後はまさに人海戦術さながら、ひたすら毎日見つけて捕獲のくりかえしで何とかしのいでいます。チュウレンジハバチは、バラの枝の内部に卵を産むので、縦に黒っぽい傷のある枝を見つけたらすぐ切り取ります。また、注意深く見ていると、よく周りを飛んでいたり枝に止まっていたりするので、見つけ次第捕殺します。特に産卵中は無抵抗ですので、必ず枝ごと処分して下さい。万が一、幼虫がかえってしまっても、最初は固まって行動していますので、毎日よく観察していればすぐ見つけられます。被害のあるところをすっかり切り取って処分します。こうしてとにかくひたすら被害のあった部分を切ってゆくのが確実なのですが、この時期は生育も旺盛なので、あまり株のダメージもなくおさまっています。バラに限らず、毎日よく見て、いち早く病虫害を発見してやることが、被害を早期に食い止める最前の方法のように私は思います。


■「Garden Diary 6月の庭・3」で紹介されていた、洗双糖を使った梅の漬け方を教えて下さい。
(99.7.10.千葉県/Sさまから、他2名の方から)

基本的には氷砂糖を使って作る梅シロップと同様ですが、氷砂糖のように精製され、滅菌されたものでないため、雑菌の繁殖に注意が必要です。下記のレシピをご参考に来年はぜひ試してみて下さい。
●材料
青梅・・・・・1Kg
洗双糖・・・・1〜1.2Kg
焼酎・・・・・少量
(酢・・・・・お好みで)
●作り方
[1]梅はていねいに洗い、一晩水につけてあく抜きをし、よく水気を切ります。梅も食べる場合は、竹串でプツプツと穴を開けておくと、ふっくらしたまま柔らかく美味しい梅ができます。
[2] 焼酎を霧吹きに入れ、熱湯消毒をした漬け込み用のガラス瓶の内側に吹き付けます。
[3] 梅をポリ袋に入れ、焼酎を吹きかけ、まんべんなく行き渡るように口を閉じて振ります。
[4]ガラス瓶に、梅と洗双糖を交互に入れ、最後に上から焼酎を吹きかけます。これは酢でも代用できますが、その場合はカップ半分程度をそそぎ入れて下さい。できあがると酸味はほとんど残りません。
[5]しっかり蓋をして、冷暗所に置きます。徐々に水分が出てきますので、まんべんなく行き渡るよう、一日に数回ビンを揺すってあげると良いでしょう。かびが生えやすいので、ある程度シロップがたまったら冷蔵庫に入れます。
[6]4週間ほどですっかりシロップができあがりますので、梅は取り出して別の容器で保存します。洗双糖は、氷砂糖のように完全には溶けにくいので、飲む前には撹拌してからグラスなどにそそいで下さい。お好みで水、炭酸水などで割って美味しくいただけます。


■ローズマリーでトピアリーを作るにはどの種類を選べば良いでしょうか? また、その性質など教えて下さい。
(99.7.24.埼玉県/I.F.さまから)

ローズマリーは、大まかに分けて、「立性」「半立性」「匍匐性(這性)」の3種類があります。いずれもトピアリーを作ることが可能ですので、それぞれの性質と適した方法をご説明いたします。
●立性ローズマリー
直立して比較的バランスの良い樹形を保ちながら生育します。「Big Mary」の愛称を持つ私の庭のシンボルツリー、マリンブルー(R.officinalis'Marine Blue')もこのタイプ。そのまま育てても十分美しい姿を楽しめますが、トピアリーにするなら、高さのあるスタンダード仕立てに向いています。これは枝を落としたまっすぐな幹の先端を球形などに刈り込んだものです。幹の高さと太さがある程度まで成長させ、さらにそれから分枝させて刈り込むわけですから、きれいな形を作るには最低でも3年はかかるでしょう。比較的入手しやすく生育も速いトスカナ・ブルー(R.officinalis'Tuscan Blue')あたりもおすすめです。
●半立性ローズマリー
少し上に立ち上がって、ある程度の高さを保ちながら横や下に伸びてゆくものです。トピアリーでは、らせん状に仕立てるスパイラル、下枝を落としながら添え木をしてある程度の高さまで真っ直ぐ育て、傘状に枝を広げながら伸ばすウィーピングなどが向いています。私の庭でも、高さ1.5メートルほどの円錐形のオベリスクに絡ませながら育てていますが、途中で枝の誘引をちょっとさぼってしまい、きれいならせん状には育ちませんでした。半立性に限ったことではありませんが、トピアリーを作るには、毎日のこまめな手入れが大切なようです。このタイプではウッドローズマリー(R.officinalis'Collingwood Ingram')パインローズマリー(R.officinalis'Pine-scented')などが入手しやすいようです。
●匍匐性ローズマリー
横、あるいは下に向かって垂れ下がるように伸びる種類です。動物の形など、低くて複雑な形のトピアリーを作ることができます。最初は針金で誘引しながら育て、飛び出た枝は適宜カットしながら育てます。小さめの鉢植えにしてハートや輪状のトピアリーワイヤーに這わせれば簡単に目的の形が出来るので、複雑な形に挑戦する前に一度お試しになってみて下さい。匍匐性は他の種類に比べ、耐寒性に劣るということですが、これまで私は特に防寒対策をしたことはありません。小型種のサンタバーバラ(R.officinalis'Santa Barbara')は、四季咲き性があり花も楽しめます。


■ローズマリーの花が咲きません。どうしたら咲くのでしょうか?
(99.8.9.関東在住/M.S.さま、99.8.13./R.さまから)

お二人からいただいたご質問は、偶然にも「3年目」「立性」という点で一致していました。匍匐するタイプに比べ、立性のローズマリーは花つきが劣るものが多く、10年を越してやっと開花した私の庭の「Big Mary」(詳細は「Big Mary's Story」をどうぞ)も立性種でした。
園芸書やハーブ関連の本の中にも、同様の質問がよく登場しています。どの回答にも共通することは、「株がまだ成熟していないから」という点。確かにローズマリーに限らず、開花にいたるまではある程度まで生長していることが条件となりますが、3年経っていれば十分この条件は満たしていると思われます。もうひとつは肥料についての問題なのですが、この点に関してはたいへん興味深いことに回答されている方によってまったく正反対のことが書かれていました。基本的にローズマリーはあまり肥えた土壌を好まない植物であることは確かですが、花つきを良くするためには施肥が必要であるという説、もう一方は、早く開花させたい場合は肥料を与えず、株を少々厳しい条件下で育てれば、子孫を残すべく(タネをつけるために)花を咲かせるようになる、という説です。どちらを信じて良いのかちょっと迷ってしまいますが、どのような性質の肥料かを考えてみると、少し答えが見えてくるような気がします。花をつけさせるために必要なリン酸と、枝葉を茂らせるための窒素肥料では、このような場合、肥料の役割が全く違ってきます。ローズマリーに限らず、窒素肥料過多で育ったものは花つきが悪くなりますので、もし肥料を与えて様子を見られるのでしたら、リン酸やカリ(根の生育を促す)の配分が多い肥料を選ぶようにしてみてはいかがでしょうか。
また、これから花をつける枝を切ってしまわないように、刈り込みのときはよく枝を観察して注意を払ってみてください。
ローズマリーの中には、どうしても花が咲きにくい品種もあるそうです。これから購入なさる折りはぜひお店の方にも確かめてみてください。M.S.さんやR.さんのローズマリーが、今年こそは花芽をつけられますよう願っております。



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