新たな保養温泉地を目指して

 古来、温泉は主に病気やケガなどの治療・療養を目的とする、いわゆる「湯治」として利用されてきました。しかし、近年このような温泉利用はあまり省みられなくなっています。ところが、温泉を活用することで自治体の医療費を抑制する可能性があるという提言などもあり、温泉に対する再評価の動きが目立つようになりました。とはいえ、一方で温泉の医学的な研究はそれほど進んでいません。なぜ温泉が身体にいいのか、どのようなメカニズムで身体に作用するのかということはあまり明確ではないのです。
 近年の研究により、温泉だけでなく自然環境を含めた周辺の様々な要素も無視し得ないものと考えられるようになりました。自然環境からの身体への影響、散歩などの軽い運動、そして食生活などを含めた様々な要因が複雑に作用して、徐々に体調を整えていくのであり、このように温泉地にある程度の期間滞在することが最も重要な要因であることがわかってきたのです。
 このようなことから、従来の「湯治」から、科学的なアプローチを加え
「保養温泉地医療」へ質的に転換する必要があると考えます。
 伝統的な従来の湯治のスタイルをふまえ、運動やレクリエーションなどを組み込みながら、数日或いは一週間程度温泉地に滞在することが、予防医学や健康づくりの一環として役に立つといえます。さらに現代社会において深刻になりつつある社会的ストレスの除去といった要求にも答えることが出来るのではないかと思われます。

 さて、川古温泉の特徴はぬるい温泉に長時間入浴することです。体温とほぼ同じ温度ですから長湯が可能です。そして、ゆっくり温泉に入ることが身体に充分な効果をもたらしてくれると考えられます。また、短期間でも精神的なストレスなどには高い効果があるようです。昔から神経痛やリューマチなどに効果があるのは、温泉の温熱効果が痛みを和らげるからです。痛みが少しでも消えれば生活の質は大きく改善されます。ですから生活のサイクルなかに温泉を利用した保養を組み込むことがとても重要になると考えます。1年間に2・3回の温泉地での滞在が健康の維持に役立つのではないでしょうか。 
                                   

湯治・保養のお客様へ

 川古温泉浜屋旅館は、古くから「川古の土産はひとつ杖を捨て」と詠われるほど、神経痛・関節痛・リウマチなどに高い効果をあげてまいりました。特に温泉の温熱作用が痛みを緩和し、日常生活に支障のない状態にまで回復される方が多くいらっしゃいます。また、なかには自律神経失調症やむち打ち症などに苦しむお客様などもおみえになります。

 
当館のお客様はむかしから温泉療養を目的とする、いわゆる「湯治」のお客様で、3・4日から7〜10日程度滞在されます。 他の一般的な温泉地とは異なり、ぬるめの温泉(37度程度)に長時間入浴する「持続浴・長時間浴」と呼ばれる特徴的な入浴方法で知られ、1日5・6時間程度を目安として入浴しています。ただし、初めての方は1日2・3時間程度の入浴から始め、徐々に増やしていくようにしてください。なお、あまりにも長時間の入浴は身体に悪影響を及ぼす恐れもありますのでご注意ください。

 湯治の期間は、よく言われるように7日または10日を「一巡り」として、滞在期間の目安にしております。経験的にもやはり7日以上の滞在が効果的です。というのも、3〜5日ほどしてから、一般に
「湯あたり」と呼ばれる、だるさなどの全身症状が現れ、その後こうした症状が徐々に軽快していくとともに、痛みなどが軽減していくことがよく見受けられるからです。

 
「湯あたり」は、よく長時間入浴した後に貧血のような症状が現れることとは異なり、入浴開始後数日後に現れる、主に全身の倦怠感・疲労感や便秘などの症状のほか局所的な皮膚の発疹や患部の痛みの増加など、個人により様々な症状が現れることを言います。程度により入浴の時間や回数を抑えるなどして、無理なくすごすようにしていれば一両日中には収まっていきます。現在、「湯あたり」に対する評価は一定していませんが、温泉が身体へ作用していることの目安といって差し支えないと考えられます。一時的には前よりも悪化したような感じをうけるかもしれませんが、特に症状がひどくなければ心配することはありません。「湯あたり」がでたら入浴時間を控え、安静をとることが大事です。

 
☆こんな症状の方もいらっしゃいます☆
 以下のような症状のお客様もお見えになっていますので、参考まで。
ヘルニア
 昔からよくお見えになりますが、効果がなかなか現れない場合が多いです。かなりの痛みや痺れを伴いますので深刻です。私どもとしてもとりあえず入浴してみてくださいとしか申せませんが、人によっては社会復帰できるまでになられた方もいらっしゃました。ヘルニアの手術はリスクも大きいため、切りたくないということで温泉療養を考えられるようですが、程度によっては手術以外には方法がないようです。それでも手術後の傷の回復やリハビリ目的などに温泉を利用することは有効だと考えられます。

帯状疱疹およびその後の神経痛
 かなりの激痛を伴うようで深刻です。また、快癒後に神経痛が残る場合があります。これについては入浴でかなり改善されたという声が少なくありません。ただし、その状態になるまで結構時間がかかります。
糖尿病
 糖尿病に効果があるかは不明です。とはいえ、糖尿病の合併症に効果があるかもしれないといった程度に考えてください。また、証明されたわけではないですが、飲泉により血糖値が下がったというお客様がいらっしゃいました。
その他
 以上のほかにも、ガンなどの手術後の傷の回復や骨折後のリハビリ、関節に水がたまって痛みがある、膠原病などで苦しんでいる方や脳梗塞などによる麻痺のリハビリ目的で来館される方、さらに最近では社会的なストレスによる自律神経失調症などの悩みを抱えていらっしゃる方も少なくありません。

温泉の効果について

 温泉はなぜ効果があるのでしょうか。前にも述べたように、そのメカニズムについてはよくわかっていませんが、基本的に温泉への入浴による身体への主な作用は以下の3つになります。
 
物理的作用
  
具体的には温熱・圧力・浮力・粘性の各作用です。
 ○
化学的作用
  
温泉に含まれる成分が直接身体に作用すること。
 ○
総合的生体調整作用
  
温泉そのものだけでなく、周辺の自然環境や運動・食事などの様々な要因により人間本来の生体リズムに戻そうとする作用。

 具体的には以下のサイトを参考にしてください。

   温泉医学 Balneologyホームページ(群馬大学医学部での温泉研究)
   A温泉研究 @「温泉の科学」へ

 
温泉の効果は確かに実感として認められるものの、実のところはそれまでの状況がある程度改善されたに過ぎません。たとえ以前よりよくなったからといって湯治を終えて帰宅されてからの無理は禁物です。リウマチの場合については、症状の改善は見られますが、完治したわけではありません。ですから少なくとも年に数度の温泉療養を継続することで、病気の進行を抑え痛みを軽減することが重要なのです。一生付き合っていかなければならない病気ですから、如何に病気を主体的にコントロール出来るかが肝心です。痛みなどの悩みが軽減されればそれだけ生活の質も高まります。また、アトピー性皮膚炎の場合も入浴によって一時的に皮膚の湿疹については改善されますが、それだけのことです。どちらかといえば、ストレスなどから遠ざける転地療法としての意味合いが強いと考えたほうが宜しいでしょう。なお、アトピー性皮膚炎の場合は草津などの酸性泉のほうが効果が高いといわれております。
 温泉療養には効果的な面もありますが、一方で限界もあります。その点はよく認識していただきたいと思います。

 
 

川古温泉浜屋旅館の湯治生活について
詳しくはこちらのページへ


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