ASTER(アスター)はオリジナル小説を掲載しているサイトです。

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ASTER
MASTER : ハル

作品傾向

異世界恋愛ファンタジー色が強めだと思います。
走り書き程度ですが下記にメモ掲載。
 
* * *
 
 イスに座りながら大あくびをし、天井に手を突き出すようにして身体を伸ばす。
「とりあえず今日のノルマは完了っと。初日だしそんなに根を詰める事もないだろ」
 外をちらっと眺めてみるが、はっきり言って明るい。どこまでも広がる澄んだ水の地平。地球の時間に修正するならば、もう夜の11時付近になるハズなのだが、この惑星タリアには【夜】という概念が無いのだろうか。
「夜がなつかしい……」
 宇宙の深淵に慣れすぎて、青と緑、光のコントラストにどうも俺は馴染めない。
 けれどこの地が愛しくて仕方ない。なんという矛盾。
「我ながらひねくれてるなぁ」
 今日済ませたデータを地球に転送処理して、「あっ!?」と俺は思い出した。
「ヤバっ! 石水の中に入れっぱなしだよ! 流されていないと良いんだけどな……」
 足早に船から降りる。子供の頃から憧れて見つめ続けたタリアの石がこんなマヌケな事で無くなるのはなんとも情けない。そう考えながら、視線を正面へと移した。
「え…?!」
 そのまま俺は驚いて硬直してしまう。なぜって?
…目の前にありえないけれど人間がいるのだ。しかも女の子が。
 年は十代前半か中頃、タリアの石が発光している時のような輝きある印象的な青い瞳。青なんだか、銀髪なのだか判別の難しそうなふんわりとした長い髪。それだけでも十分特徴があるというのに、少女の顔は俺が今まで出会ってきたどんな人間よりも綺麗だった。
 子供に25過ぎた大人が見とれるってのもなんだけど。少女も俺に気付いたようで、じっと動かずにこちらを見返していた。お互いしばらく見詰め合う…が沈黙を破ったのは俺自身だった。
「それは!」
少女が前に両手を出し、大事そうに握っている隙間から淡く青く零れる光…俺はそれを知っている。慌てて船から降りてきた原因とも言うべき石…タリアの石の光だ。
 少女は俺の顔を見て、そしてその視線を追い…自分の手元に行き着き…困ったようなけれどなぜだか嬉しそうに微笑んだのだった。


履歴

2007年12月04日
仮公開

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