川古温泉の温泉について

  もともと当館の温泉は川原に湧出しており、川底に浴槽を作って利用してきました。
昭和62年、新たな源泉を求めてボーリングを行い、豊富な温泉を得ることが出来ました。
当時の記録では40度弱の温泉が毎分2800L噴出したとあります。
その後、温泉の量は毎分750L程で安定してきております。
以前からぬるい温泉だったこともあり、各浴槽には源泉を直接入れております。
ぬる湯については、温泉投入量を調整し浴槽内で37〜38度の温度を保っております。
なお源泉から直接掛け流しており、空気に触れることなく各浴槽へ供給しております。
もともと特徴としていた気泡がたくさん付着する、新鮮な源泉をお楽しみください。
*露天風呂では気泡があまり見られません

 温泉の成分は、平成10年3月に行った分析結果によれば、以下のようになります(抜粋)

  泉質 カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性温泉)
 泉温 40.1度  pH値 8.0                 
 密度 0.9994(20.0度)  蒸発残留物 1.46g/kg(110度)

試料1kg中の成分、分量及び組成

(1)陽イオン                       (2) 陰イオン

成分 ミリグラム(mg) ミリバル(mval) ミリバル% 成分 ミリグラム(mg) ミリバル(mval) ミリバル%
ナトリウムイオン(Na+) 128 5.56 30.37 フッ素イオン(F-) 1.5 0.08 0.43
カリウムイオン(K+) 9.40 0.24 1.31 塩素イオン(Cl-) 91.5 2.58 14.12
マグネシウムイオン(Mg2+) 0.49 0.04 0.22 硫酸イオン(SO42-) 734 15.3 83.56
カルシウムイオン(Ca2+) 249 12.45 68.07 炭酸水素イオン(HCO3-) 20.8 0.34 1.86
鉄(U)イオン(Fe2+) 0.04 0.00 0.01 炭酸イオン(CO32-) 0.2 0.01 0.03
マンガンイオン(Mn2+) 0.08 0.00 0.02
陽イオン 計 387 18.3 100.0 陰イオン 計 848 18.3 100.0

(3)遊離成分
ア 非解離成分                    イ 溶存ガス成分

成分 ミリグラム(mg) ミリモル(mmol) 成分 ミリグラム(mg) ミリモル(mmol)
メタけい酸(H2SiO3) 61.6 0.79 遊離二酸化炭素(Co2)(遊離炭酸) 7.5 0.17
メタほう酸(HBO2) 11.0 0.25 遊離硫化水素(H2S) 0.0 0.00
非解離成分計 72.6 1.04 溶存ガス成分計 7.5 0.17

  溶存物質(ガス性のものを除く)  1.31g/kg (1)+(2)+(3)ア

  成分総計               1.31g/kg (1)+(2)+(3)ア、イ

 その他の微量成分
   総ひ素   0.23mg/kg
   銅イオン・鉛イオン・総水銀は検出せず

 まず、地中から湧出する鉱泉のうち、温度が摂氏25度以上あり、ガス性のものを除いた溶存物質が1kg中1000mg以上あったり、特定の物質が一定量以上あれば、特に治療の目的に供しうるものとして療養泉と定義されます。普通私たちが分類する温泉はこの療養泉です。
 さらに、摂氏25度以上の温泉についても泉温から、低温泉(25度以上34度未満)、温泉(34度以上42度未満)、高温泉(42度以上)に分類されます。少しややこしくなりますが当館のような40度前後の泉温の温泉は、温泉の中の温泉ということになります。そして、pH値から弱アルカリ性(7.5以上8.5未満)、滲透圧を溶存物質総量(g/kg)が8未満から低張性とそれぞれ決定され、「弱アルカリ性・低張性・温泉」ということになります。
 次に、泉質については、陰イオンの主成分が硫酸イオンであり、陽イオンの主成分であるカルシウムイオンからカルシウム-硫酸塩泉となりますが、ナトリウムイオンが陽イオン中30%以上を占めることから、「カルシウム・ナトリウム−硫酸塩泉」となります。このような温泉の分析から泉質などが決められていきます。
 以上の様に泉質が決まると、温泉分析書別表というものに療養泉分類の泉質に基づく禁忌症、適応症が決められていくわけです。実は、「温泉の一般的禁忌症(浴用)」及び「療養泉の一般的適用症(浴用)」というのがそれぞれありほぼ自動的に記載されます。この他にそれぞれの泉質により禁忌・適応症がいくつか規定されています。
 
温泉の一般的禁忌症(浴用)は以下のようなものです。
  急性疾患(特に熱のある場合)、活動性の結核、悪性腫瘍、重い心臓病、呼吸不全、
  腎不全、出血性疾患、高度の貧血、その他一般に病勢進行中の疾患、
  妊娠中(特に初期と末期)

 これを見ればわかるように、一般に病気の場合は温泉に入ってはいけないということを規定しているわけです。注意すべきは妊娠中の入浴を禁忌とすることでしょうか。
 また、療養泉の一般的適用症(浴用)は以下のようになります。
  神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、
  慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進

 どこの温泉に行っても上記の適応症は必ず記載されているはずです。硫酸塩泉の場合はこれらの適応症に加えて、
  動脈硬化症、きりきず、やけど、慢性皮膚病
が追加されます。このように適応症などは機械的に決められているに過ぎません。さらにこの適応症が何らかの科学的な根拠に基づいて決められたものかといえば、必ずしもそうとはいえないのが現実です。そんなわけで最近は適応症を記載しないほうがよいのではないかという意見もあります。しかし、そのことだけをもって温泉の価値を否定することは出来ません。確かに説明できない部分もありますが、経験的・伝統的に温泉が身体にいいということは紛れもない事実です。今後、さらに温泉医学が進展していけば温泉の効能に関する説明も理論付けられていくことでしょう。

  

飲 泉 所 設置
(平成15年7月 温泉利用認定委員会決定)
群馬県では飲泉設備を専用に設けないと飲泉の許可が下りません。今回露天風呂の一角に
飲泉及び飲水の設備を新たに設けました。温泉を飲む場合は必ずこの施設をご利用ください。

適 応 症 禁 忌 症
胆のう症・胆石症・慢性便秘
肥満症・糖尿病・痛風
腎臓病・高血圧症・下痢のとき・
その他一般にむくみのあるもの
用 法 用 量(1日の摂取量)
源泉を水でうすめない
食後30分ないし1時間がよい
飲泉直後にお茶・コーヒーなどを飲まない
就寝前の飲用はなるべく避ける
大人(16歳以上)・・600ml以下
15歳〜8歳・・・300ml以下
7歳〜5歳・・・・200ml以下
4歳〜3歳・・・・100ml以下
2歳以下・・・・・・60ml以下
  
その他の注意
一回の摂取量は200mlを限度とし、1日3回程度とする。
高齢者は体格及び体調により飲用量を減量する。
飲泉は流出口の新鮮なものを用いる。
容器は清潔で専用のものを用いることが望ましい。       

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