JUNK : 22

悪魔と呼ばれた男

2015.01.21.

 地獄絵図さながらのその光景を見ても、男の表情は揺らがなかった。
 それでも、もし注意深く彼を観察する者がいれば、彼の表情がごく僅かながらも変化したことに気付いたかも、しれない。
 薄い唇の端に浮かんだ微かな引き攣れにも似たもの、それは笑み。瞳には猛禽類さながらの鋭い光。
 それは彼に捧げられた不名誉な二つ名――銀髪の悪魔――そのものだった。
 彼は周囲にいる兵士たちとは別種の存在だった。彼の任務は、観察し、あらゆる情報を集め、そして持ち帰ること――。必要があれば彼自身も戦うことになるだろうが、基本的には観察者である。
 情報はとにかくどんな些細なもの(事)でも集めることだ。重要度をはかることはしない。優劣を決めるのは買い手の方だから。それに自分ではくだらない、と思う事でも相手にとっては非常に重要だというのも、ままある話だ。

 真の目的を隠し、彼は有象無象の兵士と共にロープを伝って地上へと降り立った。



- Fin -





memo

 初出は 2011.04.07. 拍手お礼。
 といいつつ、こちらも古いネタ帳から発掘してきました。ネタ帳に書き殴ったのが07.08.04.だってさ。やっぱり寝かせすぎてる感がムンムンと……。ちなみにPixivでは随分前に投稿・公開してました。
 意外にも、と言ったらかなり失礼なのかもしれませんが、ニコライファンがいらっしゃるようで嬉しいです。つまりアレよね、軍事冒険小説が好きな方がいらっしゃるてことよね! え、それとこれは別の話だと? そんな……。ちなみにニコライの二つ名は、全くの捏造です。そんな設定、公式にはないです。ハンクにしかないよ!
 オペラクでの彼は3よりもテンション高くて卑劣でステキです。腹黒く暗躍している感は3のが上でしたけど(あくまで個人の感想)。がんばってコーリャで一本、書きたいです。