Carlos & Jill
2013.02.11.
綺麗で賢くて。野生の動物のようにしなやか。世の中全ての男がモノにしたいと思うような理想的な女性。彼女の名はジル・バレンタインといい、今まさに目の前に居るのがそのヒトだ。正直言って、俺なんかには過ぎた女性(ヒト)だと思うことが、時々ある。
何の時だったか、ガラにもなく酒にのまれていたのか、つい彼女にそれを漏らしてしまったことがあった。
「そうね。そうかもしれないわね」
ひどく真剣な瞳と表情でそう返してくる彼女を見て、口を滑らせてしまったことを激しく後悔した。絶対に失いたくない人との関係を自らの手で壊してしまったようないたたまれない気分で、これ以上悪化する前に今すぐこの場から逃げ出したくてたまらない。
そんな俺の気持ちを察してか、彼女は俺の手を捕まえた。でも、と言葉を置いて、堅かった表情を一瞬でいたずらな笑みに変え、彼女は続ける。
「あなたみたいな男性(ヒト)は私くらいの女が付いてなくちゃ、ちゃんとやっていけないって思わない?」
- Fin -