Perfect
2012.02.11.
“パートナー”
その言葉が意味するものを思うと、どうしようもなく気持ちが沈む。
数度の任務を経た後、どうあっても自分はあの人のパートナーにはなれないのだと、気付いてしまった。
ラクーン消失からしばらくは、人にも物にも不自由するようなこぢんまりした私設部隊だった。だがロシアでの作戦を終える頃には随分と規模も大きくなり、小回りの利かない組織へと変貌し始めていた。それからまもなく部隊はB.S.A.A.と名を変え、公設の組織として世間に認められるようになっていった。
始めこそごたつきはあったものの、その手のことは大体時間が解決してくれる。B.S.A.A.としての活動が軌道に乗り始めるのを見届けると、俺はそこを去った。
俺が居なくても、この組織は大丈夫だ。
元々俺は一兵士でしかなかったんだし。代わりなんて、いくらでもいる。
その後俺は民間の軍事会社に職を見つけ、不安定ながらも安定した生活を始めた。結局傭兵って辺りが笑わせるが、仕方がない。戦うこと以外、俺に出来ることは何一つない。だって、俺の人生はずっと銃と共にあったんだから。
あの人は不満な様だった。
B.S.A.A.に戻ってほしがっている。
でも俺にはもう無理。あそこでは俺のやりたいことなんて何一つできない。
俺はね、ただなりたかっただけなんだ。
公私共に、他人の入る余地のないような、あの人の完璧な“パートナー”に……。
- Fin -