JUNK : 13

Perfect

2012.02.11.

 “パートナー”
 その言葉が意味するものを思うと、どうしようもなく気持ちが沈む。
 数度の任務を経た後、どうあっても自分はあの人のパートナーにはなれないのだと、気付いてしまった。
 ラクーン消失からしばらくは、人にも物にも不自由するようなこぢんまりした私設部隊だった。だがロシアでの作戦を終える頃には随分と規模も大きくなり、小回りの利かない組織へと変貌し始めていた。それからまもなく部隊はB.S.A.A.と名を変え、公設の組織として世間に認められるようになっていった。
 始めこそごたつきはあったものの、その手のことは大体時間が解決してくれる。B.S.A.A.としての活動が軌道に乗り始めるのを見届けると、俺はそこを去った。
 俺が居なくても、この組織は大丈夫だ。
 元々俺は一兵士でしかなかったんだし。代わりなんて、いくらでもいる。

 その後俺は民間の軍事会社に職を見つけ、不安定ながらも安定した生活を始めた。結局傭兵って辺りが笑わせるが、仕方がない。戦うこと以外、俺に出来ることは何一つない。だって、俺の人生はずっと銃と共にあったんだから。
 あの人は不満な様だった。
 B.S.A.A.に戻ってほしがっている。
 でも俺にはもう無理。あそこでは俺のやりたいことなんて何一つできない。
 俺はね、ただなりたかっただけなんだ。
 公私共に、他人の入る余地のないような、あの人の完璧な“パートナー”に……。



- Fin -





memo

 2010.01.23.初出。結局二年半も拍手の中に居座ってました。
 マイナス思考でぐるんぐるん(笑)なカルるん。
 カルるんみたいな人って、結局『傭兵』をやるしかないんではないかな、という気がします。ホワイト向きじゃない。デスクワークなんて絶対無理そう(笑) ブルー向き。警官もブルーだったか、そういえば。BSAAの職員も8割方はブルーじゃないかなーと言う気がします。