花とハーブに囲まれて、私がこんな暮らしを楽しむようになるまでに、たくさんの方々との出会いがありました。
その出会いで私がいただいたものは、貴重な知識や知恵であり、元気であり、夢でした。感謝を込めてここにその方々をご紹介いたします。


ターシャ・テューダーさん (さし絵画家・絵本作家・園芸家)

文芸春秋社から出版されている「ターシャ・テューダーのガーデン」という本をご存じでいらっしゃいますか?アメリカ、バーモント州南部に位置する広大な敷地に素晴らしいガーデンを持ち、自給自足に近い生活を送っていらっしゃるターシャ・テューダーさんを、四季折々の美しい写真と文章で紹介しているとても素敵な本です。

2年ほど前、書店でこの本を手にしたときから、私はすっかりターシャ・テューダーさんの世界の虜になってしまいました。ターシャさんご自身が選んで種を播き、球根を植え、行き届いた手入れと愛情が注がれているその庭は、入念に計画して作られていながら、実に自然な調和を見せています。春から夏にかけては、鮮やかな花々が圧倒的な数で咲き誇り、写真からも芳しい香りが漂ってくるのではないかと錯覚してしまうほどです。

この本の影響で、私の庭の新しい住人となった植物も少なくありません。自分の庭をとにかくハーブで埋め尽くすことに夢中だった私が、ターシャさんの庭に咲くような花も一緒に育ててみたいと、ちょっと路線変更したためです。もちろん、まるで自然の景観そのもののようなターシャさんの広大なガーデンと、猫の額ほどの私の庭とでは比較になどなりませんが、それがきっかけとなり確かに私の庭に華やかな彩りのようなものが備わってきたのは事実です。そして、庭に限らず、生活の中に植物をはじめとした自然のあらゆるものを、どんな風に関わらせ、生かしてゆくか、ということも参考にしたい内容がたくさん盛り込まれています。

ターシャさんはまた、自分の好きな植物を植え、育て、思うがままの庭を実現するためには、労を惜しんではならないことも教えてくれました。ターシャさんがご自分の庭を「この世の楽園」と呼ぶように、私にとっての私の庭も「この世の楽園」と言える日が来るように、私も努力と愛情を惜しまず、庭と植物たちと、そして私自身とを育てていきたいものだと思っています。
1999.8.19 
【プロフィール】
 1915年、マサチューセッツ州ボストン生まれ。
 さし絵画家、絵本作家。園芸家としても有名。
 1938年に『パンプキン・ムーンシャイン』を出版して以来、80冊以上の本を出版。
 その著書だけでなく、彼女の実践する19世紀のライフスタイルが、多くのアメリカ人の共感を呼んでいる。
 他に『ターシャ・テューダーの世界』『ターシャ・テューダーのクックブック』が文芸春秋社から刊行。


矢神 義夫さん (植木屋さん)

大きな木が狭い庭のあちこちに鬱蒼とした闇を作っていたこの古い家に嫁いできた時、とにかくなんとか明るい雰囲気にしたくて、でも自分の力ではどうにもならなくて途方に暮れていた時、以前からのお知り合いでもあった矢神さんが手助けしてくださいました。以来、どうしてもプロの手に委ねなければならない木のあるこの庭には、欠かせない存在となった植木屋さんです。季節ごとの樹木の剪定だけではなく、柿の木にイラガの幼虫が大量発生した時も、隣接するお寺の敷地に棲息するムカデが家まで進入してきた時も、椿の茂みにスズメバチの大きな巣を見つけた時も、ピンチの時にはすぐ来て助けてくださいました。でもこの方、私が育て始めたハーブには、当初ちょっと冷ややかな反応だったのです。草むしりも満足に出来ずに初夏になると悲鳴を上げているというのに、放っておけば雑草並みの奔放な繁殖をするハーブなどを植えたらたいへんなことになる…どうもそんなふうに思っていらっしゃったようです。そして一年経ち、二年経ちするうちに、矢神さんの反応も変わってきて、盛り土をしてもっとハーブたちが居心地のいいような花壇のリフォームを提案してくださり、私の「ローズマリーの庭」はそこから始まったと言えるでしょう。
そこにそんなもの植えちゃダメ!もっとこまめに草むしりをしなきゃダメ!などと、実は私、よく叱られていたのですが、いつの間にか叱られなくなったのは、駆けだしダガーデナーの私も少しは認めていただけるようになったということなのでしょうか。嬉しいようなちょっと寂しいような気分です。


 (主婦)

ガーデナーとして私に一番の影響を与えているのは、やはり母です。遺伝子に組み込まれたものなのか、それとも幼い頃からの環境のなせる技なのか…とにかく母は草花をこよなく愛する人でした。転勤族だった父とともにいくつもの家を移り住んでいた時代にさえ、母はどの庭も魔法のように花でいっぱいにして暮らしていました。ハサミを片手に剪定や花殻摘みをする母の傍らで、あざやかな花びらやいろいろな形の葉っぱを料理に見立てたままごと遊びの楽しさは格別でした。
玄関やお仏壇や水回りの棚には、いつも庭から切ってきた季節の花が飾られていて、それは永住の家を構え、老齢となった今も変わることなく続いています。



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